夕焼け撮影のカメラ設定:すぐ使える設定リスト
12月 30, 2025
美しい夕焼け写真を撮りたいですか?プロのように感動的な夕景を撮影するための最適な機材、設定、構図のコツを紹介します。
写真が好きな人なら誰でも、遅かれ早かれ「夕日をきれいに撮るにはどうすればいい?」という運命のような疑問にぶつかります。Instagramで見るような息をのむ一枚を撮ろうとするからです。太陽が昇ったり沈んだりするときに、最も美しい光と色を見せてくれる「ゴールデンアワー」については、きっとご存じでしょう。
この記事では、忘れられない夕景写真を撮るための機材選び、夕日撮影の設定、そして構図のコツをご紹介します。
撮影を始める前に知っておきたいこと

撮影を始める前に、夕日がよく見え、なおかつ手前にシルエットや前景の要素を入れられるような、特に魅力的な場所を探しましょう。
この記事を読み進めると、夕日写真の撮り方のコツやカメラ設定の管理方法について、さらに詳しく知ることができます。大切なのは、カメラが「こう写るべき」と判断した色ではなく、自分の目で見たままの色を写し取ることです。たとえば、特に極端な光の状況では、シーンに合わせて基本的な露出設定を調整しましょう。以下に、夕日撮影におすすめの設定の一例をご紹介します。
モードをマニュアル(M)に切り替える;
ISO を 100 に設定する;
シャッタースピードを 1/30 秒、またはそれより遅くする;
18〜24mm の広角レンズを使う;
マニュアルフォーカスに設定する;
絞りを f/16 に設定する;
ホワイトバランスを「晴天」に設定する;
三脚を使ってカメラをしっかり固定する。
カメラを自分の手で細かく設定し、夕日撮影に最適な条件を見つけていくプロセスは、何ものにも代えがたい楽しさがあります。サンセットフォトの詳しい解説に興味があれば、このガイドを読み続けてみてください。
夕日ポートレートに適したカメラ設定の選び方

ゴールデンアワーの光は、写真に自然でやわらかな光を与えてくれます。日没後のブルーアワーになると、深みのある印象的なトーンが加わり、シーンの色とディテールの幅がさらに広がります。
早めに現地に到着しておくと、光が変わる前に夕日撮影用の DSLR 設定をじっくり追い込むことができます。基本となる要素は、ISO、夕日用のシャッタースピード、絞り、ホワイトバランス、光、そして露出です。
項目 | 推奨値 | 重要な理由 |
ISO | 100〜200 | ノイズを抑えることで、高い画質を維持できます。 |
シャッタースピード | 1/30s ~ 1/100s(または三脚使用時はそれ以下) | 動きによるブレをコントロールします。遅いシャッタースピードは、より豊かな色を写し出すのに役立ちます。 |
絞り | 風景なら f/8 ~ f/16、ポートレートなら f/2.8 ~ f/5.6 | 被写界深度とシャープさに大きく影響します。 |
ホワイトバランス | 晴天(約 5500K)または曇天(6000〜7000K) | 夕焼けの暖かい色合いをより強調できます。 |
フォーカスモード | マニュアルフォーカス | 暗くなってきた場面で、オートフォーカスが迷うのを防ぎます。 |
絞りやシャッタースピードを調整する際には、大きなミスをしてしまう可能性もあります。とくに初心者の方は、それを避けるために「絞り優先モード」を使うのがおすすめです。Nikon なら A、Canon なら Av という表記になっています。
風景写真では、f/8〜f/16 のような小さな絞り値にすると、手前から奥までしっかりピントの合った写真を撮りやすくなります。反対に、夕日を背に人物を撮る場合は、f/2.8〜f/5.6 のような明るい絞りにすることで、美しいボケを活かしながら背景から被写体を引き立たせることができます。
シャッタースピードは 1/100 秒以下からスタートし、少しずつ遅くしていきましょう。空のコントラストが低いと、カメラがピント合わせに迷うことがあります。その場合は、レンズをマニュアルフォーカスに切り替え、ピントを無限遠に合わせるのがおすすめです。
露出:唯一の「正解設定」が存在しない理由
露出は、写真家にとってもカメラにとっても最も悩ましい要素のひとつです。夕日撮影において「これが正しい露出」という絶対的な答えはありません。どのような一枚を撮りたいかによって、理想の露出は変わってくるからです。たいていの場合、同じ夕日を複数の人が撮影すると、仕上がりは全く違うものになりますが、どちらも魅力的で印象的な作品になり得ます。
おすすめは、太陽そのものを外し、その周辺部分で露出を測る方法です。そのうえで、AE-L ボタンを使って測光結果をホールドまたは固定します。撮影後はヒストグラムをチェックし、ハイライトが飛びすぎていないか、シャドウがつぶれていないかを確認しましょう。その際には、測光モードをスポット測光に設定しておきます。
もうひとつのコツは、1〜2 段分ほど意図的にアンダーに撮ることです。そうすることで色がより濃く見え、シーン全体がドラマチックな印象になります。
構図では「三分割法」を活用してみましょう。シーンを、2 本の縦線と 2 本の横線で 9 つの同じ大きさのエリアに区切るイメージです。それぞれの線が交わる 4 つの点を「強調点」と呼びます。太陽をそのいずれかの位置に配置することで、地平線が画面中央ではなく、下から 1/3 の位置にくるようになります。空があまり印象的でない場合は、地平線を上側の線(画面の 2/3 の高さ)に合わせることで、下側の風景をより強調することもできます。
ポイントは、地平線をまっすぐに保つことです。画面の輪郭やラインに意識を向け、余計なものをフレームから外して、すっきりした構図を作りましょう。数メートルほど移動するだけで、画面の印象がガラッと変わることもよくあります。
夕景での ISO 感度設定のポイント

太陽がまだ見えているあいだ、少なくとも一部でも地平線から顔を出しているうちは、ISO は 100〜200 に保ちましょう。太陽が完全に沈んだあとでも、空に色が残っているあいだは、ISO を 400 や 800 まで上げても構いません。ただし、やり過ぎるとデジタルノイズだらけの写真になってしまうので注意が必要です。三脚を使用すれば、露光時間を伸ばしながら ISO を低く抑えることができ、ブレのリスクも減らせます。
もし、撮る写真がどれも明るすぎたり、色が薄く感じられたりする場合は、「露出補正」機能をオンにしましょう。夕日撮影に適した設定は、だいたい -1〜-2EV あたりです。逆に色が暗すぎると感じたら、+1 〜 +2EV で明るさを補うこともできます。最終的な露出の微調整は、後からのレタッチで仕上げましょう。
AI ピクチャーエンハンサーを使えば、ひとつのメインスライダーを動かすだけで、シャドウやハイライト、コントラストなど多くの要素を自動で最適化できます。自動カラー調整機能によって、空の写真にさらに鮮やかさを加えることも可能です。
ホワイトバランスが重要な理由
RAW で撮影している場合は、夕日用のホワイトバランスを完璧に合わせようと神経質になる必要はありません。後から色温度を簡単に調整でき、画質もほとんど損なわれません。
一方、JPG で撮っている場合や、撮影の段階でしっかりとしたオレンジ寄りの色味を出したい場合は、ホワイトバランスをマニュアルに設定しましょう。WB 設定を開き、色温度を 7000〜11000K のあいだに設定します。
仕上がりに満足できないときは、編集時に WB(ホワイトバランス)を調整して、画像の色相を変える方法も試してみてください。
どのレンズを使うべき?広角か、それとも望遠か?
どちらのレンズも、狙いによって有効に使えます。太陽を大きく写し、周囲のシーンを切り取るように撮りたい場合は、200mm、300mm、400mm といった長い焦点距離の望遠レンズを選びましょう。反対に、広い風景のなかで夕日を「その場の雰囲気ごと」写し込みたいなら、50mm 以下の短い焦点距離のレンズが最適です。
室内での撮影を予定していて、できるだけクオリティの高い写真を撮りたい方は、室内撮影におすすめのカメラ設定もチェックしてみてください。
美しい夕日写真のための機材選び

必要な機材は、使うレンズと撮影スタイルによって変わりますが、特に望遠レンズ(200mm 以上)を使う場合は、三脚がほぼ必須と言ってよいでしょう。三脚の主な役割はブレを防ぐことなので、安価なプラスチック製の頼りない製品はあまりおすすめできません。
理想的な三脚は、ある程度の重さと安定感があり、しっかりとした大きめのプレートでカメラを固定できるものです。素材はアルミなど、密度の高い頑丈なものが望ましいでしょう。軽くてぐらつく三脚は、撮影者を不安にさせるだけでなく、機材を危険にさらし、せっかくの夕日も台無しにしかねません。よく使われているブランドとしては、次のようなものがあります。
Manfrotto
BENRO
Gitzo など
夕日撮影、とくに HDR 撮影を行う場合には、リモートレリーズ(リモコン)も非常に便利なアクセサリーです。これは、シャッターボタンに触れずに遠隔でシャッターを切れるため、指で押すときに生じるわずかなブレを防ぐことができます。カメラの仕様に応じて、有線タイプや赤外線タイプなど、さまざまなモデルが用意されています。
写真用フィルター
風景写真が好きな人の多くは、GND フィルターや ND フィルター、そして偏光フィルター(PL フィルター)に投資しています。偏光フィルターは、とても濃いグレーのガラスのような見た目で、レンズ前面にねじ込んで使用します。偏光フィルターは、特殊なコーティングによって不要な光の反射をカットする役割を果たします。
海の写真を撮ったとき、海底がほとんど見えないと感じたことはありませんか? これは、水面で反射した光のせいです。レンズに偏光フィルターを装着すれば、こうした反射を抑え、水中の岩や砂などのディテールをくっきり見せることができます。
ハーフ ND とも呼ばれるハード・ソフト GND(グラデーション ND)フィルターは、一方の端が透明で、もう一方が濃いグレーになっており、空と地上の明るさの差をバランスよく整えてくれます。GND フィルターには、主に次の 2 つの観点からいくつかの種類があります。
グラデーションの変化(soft、medium、hard など);
減光量(どれくらい明るさをカットするか)。
一方、通常の ND フィルターは画像全体の光量を減らすフィルターで、シーン全体を暗くすることで、写真を白飛びさせずに長時間露光ができるようになります。これにより、水面がシルクのように滑らかに見える「水の絹化」や、雲の流れを印象的に写し出す長時間露光表現など、さまざまな効果を生み出せます。
GND フィルターと違い、ND フィルターにはグラデーションがありません。そのため、どの ND を使うかは「どれくらい光を減らしたいか」という観点で選ぶことになります。
理想の一枚を撮るための事前準備
夕日を撮るときは、綿密な事前のプランニングが成功の鍵を握ります。まずは天気予報を確認し、雨や嵐で夕日が隠れてしまわないかをチェックしましょう。夕日が見える時間帯はとても短いので、少し早めに現地入りして構図を決め、機材をセットしておくことをおすすめします。太陽の位置や移動を把握するには、スマートフォンのアプリを活用するのが便利です。SunSeeker や PhotoPills といったアプリを使えば、日没やゴールデンアワーの時間を正確に確認できます。